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シアワセ分けてあげたい

駆け抜ける日々の中 ふっと心揺らした 五色の虹 僕の胸焦がしていく
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シェアハウス#16


ココマデ→シェアハウス#15


※忘れてないよ、罰ゲーム。




『カナミさぁーん』
「はーい!」

部屋の外からにのくんに呼ばれてドアを開ける。
にのくんは左肘で開いたドアに体重をかけると、左手の拳をこめかみにつけて私を見下ろしている。


『覚えてる?』
「え?何を??」

さっき起きたばかりで頭があまりはたらかない。


『はぁ、ま、覚えてないのが普通か。』
「え?なになに?」
『気になります?』
「気になるに決まってんじゃん!」
『じゃあ、教えるから、、俺の言うこと絶対ですよ?』
「え?う、うん・・・」

『今日、1日俺に付き合って。罰ゲーム。ほら、だいぶ前のだけど。』
「あ!!うわーーー油断してた。もう忘れてるのかと思ったからほっといたのに!」

『で?付き合ってくれんの?くれますよね、罰ゲームだもん。』
「えぇー、付き合うって、買い物とか?ならいいけど・・・暇だし。」
『んーーまぁそんなとこかな。俺の言うこと聞いとけばいいんだから簡単だって。
 じゃ、とりあえず着替えて、外出れるようにしといて。あと、30分で。』
「は!?30分!?ってか、こんな昼間から私と外なんか行って大丈夫なの?」

『はい、あと29分すよ。』
「え?んーもう、ドレスコードとかないところにしてよね!」


んは、というにのくんの笑い声を背に急いで洗面所に向かった。


「不意打ちすぎるし、突然過ぎるし!」

ブツブツひとりでつぶやきながら顔を洗って化粧をする。

あんなくだらないゲームと、その罰ゲーム。
もう呼び方なんてなんでもいいじゃん!

やっぱり腑に落ちないとこだらけなんだけど。


あと、15分。


服何着てけばいいの?
どこに、何しに行くの?
決めすぎても勘違い野郎だよね?
ラフすぎたら失礼かな?


カジュアルだけど、少し女の子らしくまとめた。

まぁ、にのくんなら服装気にしないかな・・・笑



準備を済ませてリビングに降りていくと、
ソファの隅っこで丸くなってDSをするにのくんがいた。


「お待たせしました!」

『・・・・。あぁ!!やられたぁ!!・・・・ぉぁ?お、早かったね。』

「誰が急かしたのよ。笑」

『よし、じゃあ行きますか!』

「え?どこに?」

『まぁまぁ。』



車に乗ると、いつも行かないような方向へ走り出した。


「何するの?これ、罰ゲーム?なんかドライブ連れてってもらってる感覚になってる私変?」
『いや、変じゃないよ。現段階は。これからいろいろやってもらいますんで。』

後部座席から彼の顔を見ていると、スっとした鼻筋と、意外と男らしい肩に引き込まれそうになって、ハッとする。



『はい、じゃあとりあえずコーヒー買ってきてください。そこ曲がったらスタバあるんで。』
「え?それでいいの?ブラック?だっけ?」
『いや、だからとりあえずって言ってんじゃん、そう、ブラック』
「あぁ、はーい。」



なんか、パシリにされてるけど、悪い気しない。
なんでだろ・・・。


車に戻ると、ありがと、といってカップを受け取って一口飲むとすぐに車を出した。


次の目的地までは結構かかった。


『じゃあ、このゲーム買ってきて。』

そう言って彼の携帯を渡される。
画面にはメール画面が開いていて、本文のところに見慣れないカタカナのタイトルが並んでいた。

「なかったら、どうすればいい?」
『なかったら、いいよ買ってこなくて。』
「おっけーい。」


なにこれ、にのくんが見つからないようにほしいものを買う旅ですか?



ゲームソフトも取り扱っている家電量販店に入るとゲームコーナーへまっすぐ向かった。
画面と商品棚を何度も見比べて3つ中1つだけ見つけるとレジに持っていった。
そこで気づいた。
このゲーム、女の人しなさそう・・・
なんか恥ずかしくなってきた!
じわじわと罰ゲームらしくなってきて、冷や汗をかきそうになった。


車に戻ってひとつしかなかったことを伝えると、
『なかったならしょうがない。さ、行きましょう。』
と、そそくさと車を出した。

一方的過ぎるドライブ(?)にだんだんイライラしてきた。
しばらくすると、車内はBGMだけが流れて私たちの会話は特になかった。

何考えてんのかな、つまんない。


空はオレンジ色になり始めていた。


「どこまでいくの??」
『そうだなー次のとこは日が暮れる頃かな。』
「は?どこまでいくの?」
『行けばわかりますから。』
「ふぅーん」

私は所詮付き合わされてるだけだし、
言われるまでなんもしなくっていっか。

つまんなさが顔に出てるのが自分でもわかるし、
顔に出さないようにしようとも思わない。





手首を掴まれて揺すられて起きた。
やっば、私寝ちゃってたの?
それはさすがに最低。


「はっ!!ごめんなさい!!」
『これから仕事してもらいますんで、降りてください。』
「あ、うん。」

降りようとしたときに空はすっかり暗くって、
辺りは街灯のない真っ暗なところだった。


『きをつけて、足元。』

静かな声で言うと先に歩いて行った。

耳をすませると、ここがすぐに海だということに気づいた。


足元が砂に変わって、歩きにくくなる。


『・・・。』
「・・・!」

無言で手を掴まれた。

返す言葉が見つけられなくて、黙った。


少し歩くと堤防があって、そこに腰掛けた。



『ありがと。』
「え・・・?」
『俺のいうこと聞いてくれて。』
「買い物くらいどうってことない・・・」
『それじゃないんだよ。』
「・・・?」
『それは、あくまで前フリ?ここに来るのが俺の聞いてもらいたいお願いだったの。』
「ん・・・?どういうこと?」

『俺ら、デートとかできないんだわ。女の子と海に行くのとか、ドライブするとか。なかなかね。
 だから、擬似デートっていうの?最近ずっと家こもりっぱなしで、
 いいきっかけかなって思って、カナちゃんさそってみたの。
 いつもなら、ゲームしてるだけで十分楽しいんだけど、
 ごく普通の女の子見てるだけで、普通の男がするようなことしてみたくなったっていうか。
 俺なんかのわがままに付き合ってもらうってのが、罰ゲームかな。』

今までしゃべらなかった分を取り戻すように一気にしゃべると
すぅっと大きく息を吸い込んだ。

『一瞬だけ、この海岸にいるときだけ、俺の女役してて。これが最後。』

「・・・いいよ。いいけど、これ、罰ゲーム?」
『俺が決めた罰ゲームなんだから文句言うなよ。俺の言うこと絶対って言ったじゃん。』


今まで、異性として見たことなかった。
見たところで手の届かないキラキラ輝く人でって思ってたから。

なのに・・・こんなことされたら、意識しない方が無理なわけで。



『俺、女の子と夜の海で星見てみたかったんだよね。』
「そうなんだ、なんか意外だね。」
『・・・そ?俺だって彼女とかいたら少しは外行くよ。月一くらいで。』
「それ以外はやっぱりゲームなんだ?ふふふ」
『まぁ、そうなっちゃうよね、俺の場合。んふ。』
「ふふふ・・・」


・・・。



『んしょ、』

横で寝そべって空を見上げてたにのくんが突然起き上がる。
私は遠くにうっすら見える黒い波を見つめてた。


再び沈黙が二人を包む。
少し気まずい気がして足をブラブラさせてみた。


『一回だけ“カズくん”って呼んでみ?』
「・・・え?カズくん。」
『んはっ、言わされてる感(笑)』
「だって言ってみっていったじゃん!」

あまりにも馬鹿にされるから、ちょっとムッとしてぷーっと頬を膨らませて自分の膝を見つめた。

『恥ずかしいの?』
「え!?・・・なんか、い、イメージがないからかな?そう呼ばれてる・・・。」

本当は恥ずかしいし、照れるから呼ばなくて済むように会話してる自分がいた。

『・・・うそ。』
「え?」
『顔に書いてありますよ。』

下ばかり見てて気付かなかった。
はっとして、二宮くんの方をちらっと見ると、
横目だけど、じっと私を見ていた。

私は、「もう」と言って両手で自分の頬を包んだ。

『・・・好きでしょ』
「・・・!」


好き・・・?
何が?二宮くんが!?それはないよ、だって、だって・・・。

「え?な、何を??海?」
『んはっ、もういいよ。』

二宮くんはそう言って、暗くて何も見えない沖の方を見つめていた。


また沈黙・・・。
話題、話題・・・と考えていたそのとき。


堤防についてた右手の指先を彼の手が握った。

『・・・。』

びっくりしたけれど、
このままでもいいかななんて思った。

私は”彼女役”って言い聞かせて・・・。
少し握り返してみた。


そして、おそるおそる彼の顔を覗き込むように目を右にやる。
すると、彼の顔が私に近づいた。
ハッとしたけど、なぜかそれ以上はされない確信があった私は、彼の鼻先を見つめた。

いつもの自分ならこんなこと絶対にしないし、できない。
けど、彼の世界に入り込んでしまった私にはできてしまった。


近くで見る彼の伏し目はとても綺麗で・・・。


そのままゆっくりと顔が近づき、鼻先がちょんっと触れて離れた。



『あぶねぇ・・・』


え・・・?と思ったけど聞こえないふりをした。



『・・・行きますか。』



車に向かう間に、いつもの二人に戻って、気まずさはなくなった。


「なんで、これが罰ゲームなの?」って聞いたら、
『俺なんかと付き合うシチュエーションさせるなんて
罰ゲームでしかないだろ、んふふ』って笑った。


やっぱり謙虚な人なんだなと思った。




後部座席に座って、助手席のヘッドレストに抱きつきながら
楽しくお話をしたり、BGMを口ずさんだり、
さっきまでのことは夢だったかのよう。






『はい、おしまい。おつかれさまでした。』
「ふぅ~これで、罰ゲームも終わり?」
『あ、最後に。今日のことは忘れてください。』
「・・・ぁ・・・うん・・・。」



「ドキドキしちゃったよ~!」なんて言える訳なくて。

だって・・・冗談半分で口にできないほど、ほんとうにドキドキしちゃたから。
心臓飛び出しちゃうかと思ったんだから。





一線は超えてはいけないと、
この家に来たとき、いや、潤くんが嵐になってから心に決めている。


二宮くんが言ったように

忘れなさい。

と自分に言い聞かせる。



でも、平凡な毎日の中に少し刺激をくれた彼には感謝しようかな。



そんなことを考えながら眠りについた。




⇒⇒NEXT:シェアハウス#17



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