シアワセ分けてあげたい

駆け抜ける日々の中 ふっと心揺らした 五色の虹 僕の胸焦がしていく
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シェアハウス#23

ココマデ→シェアハウス#22

※妄想
※フィクション
※徒然なるままに~な自分用




――Jun――



かなみの実家は父方のおじいさんの家。
その家の庭はどんな季節でもいろんな色で溢れていた。

俺の家の庭は、じいちゃんが好きだった木が植えられていて、緑の多い庭だった。

だから、色とりどりの花が咲いたり、葉っぱも色づいたり、
と表情がいろいろある楠本家の庭は、子どもながら好きだった。



あれは、かなみが12歳の頃。
俺はもうデビューして4年経った頃だった。



久しぶりに仕事の合間を縫って楠本家を訪ねた。
この時はかなみのお父さんの転勤先がおじいさんの家の近くだったため、
そこに家族5人で住んでいた。


おばさんに、俺が行くことはかなみには内緒にして、とお願いしてサプライズ訪問を試みた。



ピンポーン♪


『はーい、あら、潤くん!いらっしゃい!』
『どうも、お久しぶりです。かなみ、いますか?』
『もちろん!今日は家の手伝いしてって、家にいさせておいたんだから。』
そう小声で言うと、リビングへと案内してくれた。

「ママー、この服も捨てていいー?もう着な・・・」

近づく声にドキドキしながら麦茶を飲み干したその時、高い声は止まった。
振り返ると、文字通り目を丸くして、俺を見つめる彼女の姿があった。


『よっ』
「・・・。」
『おい、返事しろよ(笑)』
「潤くん・・・」
『そうだよ、おいで?』

久しぶりで恥ずかしがっている様子がひしひしと伝わってくる。
かなみは小さいながらしっかりしてる子だからその分人との接し方に慎重なところがあって。

「久しぶり・・・です。」
『んはは、緊張しすぎだから。敬語とかやめろよ。こっちが緊張するわ。』
「あ、そっか、潤くん、だもんね。・・・なんかすごく、大人っぽくなった!」
『俺ももうハタチだからな。』
「すごい、大人。・・・あ、そうだ、テレビ見てます!CDも買ってもらった!」

まだ昔に戻りきれなくってところどころ敬語になっちゃったり、
敬語なのか、タメ口なのかよくわからない言葉遣いのかなみが相変わらずで可愛かった。


それから、だんだんと距離が昔遊んでいた時くらいまでもどって、
他愛ない話から真面目な仕事の話まで、時間が過ぎるのも忘れて話をした。




「なんだか、違う世界にいるみたいで、本当はちょっとさみしいの。」

一瞬の沈黙を破ったかなみの言葉は、正直響いた。

『俺は何も変わらないよ、ずっと友達だよ』
「ともだち・・・よりは近くにいちゃダメ・・・なんだよね・・・」
『え・・・』
「あたし、潤くんとずっと一緒にいたいの。忘れて欲しくないの。」
『・・・。』
「転校ばかりしてて、友達とはすぐお別れになっちゃって、
 みんな、手紙とかくれてたんだけど、ちょっとしたら来なくなっちゃって、
 それがすっごく寂しくって、仲良しの友達つくるのやめたの。
 でも、潤くんだけは、絶対にお手紙くれるから、離れないで欲しいの。
 こうやっておうちに遊びに来てくれる人もいないし。
 潤くんは優しくしてくれるし、怒ってもくれるから、お兄ちゃんみたいって思ってて・・・」

そうやってずっとずっと何かをしゃべっていた。
かなみのクセが出た。

照れるとずっとずっと遠回りしたり微妙な嘘ついて戻ってこないクセ。
たぶん、こいつは俺のこと気になってる。

『それはさ、俺のこと好きってこと?』
「へっ・・・あ、、えっと、・・・うーーー、うん。・・・・好きかもしれない。」


びっくりした。
俺の知ってるかなみじゃない。
こんなに素直なやつじゃない。
そんな子の口から「好き」って言われたらドキドキしないほうが無理だ。
たかが小学生、されど小学生。
幼い子でも、女の子は女の子で。


『・・・え』
「・・・小さい頃いってた“好き”とは違うよ?あたしも好きな人くらいできるよ?」


幼馴染としては、すごくいい子だし、これからもずっと付き合いを絶やしたくない。
大人になればきっとすごく素敵な人間になることくらいわかる。
大切にしたい幼馴染だ。
軽はずみな言葉で嘘をついても、後で悲しむのはかなみだ。
・・・真面目に答える道を選んだ。


『ごめんね。好きだけど、たぶんかなみの言ってる“好き”とはちがうと思うんだ・・・。』
「・・・。」

リビングが静まり返る。
ふと、窓の外に目をやってみたけど、
いつもみたいな色鮮やかな庭はそこにはなかった。

沈黙を破ったのはまたかなみのほうだった。

「・・・もし、あたしが20才になったときに同じ気持ちだったら、もう1回言ってもいい?」
『うん、いいよ。そのときは俺もおじさんだぞ?(笑)』
「えーーおじさんはいやだなー(笑)」


小学生のお願いだけど、大切な友達のお願いには不覚にもドキドキした。
将来、かなみのことを好きになる可能性は十分にあると、俺は思う。




「潤くん!お仕事がんばってね!テレビ、毎日見るね!」
『おう、ありがと!まー、毎日は出ないけどな!(笑)』
「そうなの?」
『まぁ、また手紙出すから、それに書いとくよ。』
「わかった!あたしもお手紙書くね!!」
『じゃあ、またな。』
「うん・・・ばいばい!」


それから5年は会えなかった。



―――


トレニアを見ると、赤ちゃんのころのかなみを思い出す。
なかなか子どもができなかったおばさんたちの間にやっと子どもができて、
俺の母さんも父さんも姉ちゃんも俺もみんな喜んだ。

俺は、姉ちゃんしか兄弟がいないから赤ちゃんを見たことがなくて、
初めて見た赤ちゃんに夢中になった。
当時8歳だった俺は学校が終われば遊びにいって、あやしていた。

インターホンを鳴らして、おばさんが「はーい」と出てくるまでの数秒間は
とても長く感じたのを今でも覚えている。
その時に目にしていたのが玄関前のプランターに植えられたトレニアだった。
もちろん、花にも季節があるから1年中咲いているわけではないけど、
素朴で庶民的な小さな花は親しみやすかったらしい。


玄関だけじゃなく、庭にも植えられていたその花は小さいくせに俺の中では
あの家の庭の主役だった。




あの赤ちゃんが、今はもう23歳。
立派に社会にでて、仕事をしているひとりの女性になった。



トレニアを、しかも、楠本家のなつかしい庭に咲くトレニアを見て、
当時の記憶がフラッシュバックした。


予想外の告白。
「ごめんね」と言う心の痛さ。


あの日から5年後、一度だけ会ったっきり、
去年まで一度も会えなかった。

それでも約束通りこまめに手紙のやりとりをしたり、
携帯電話を持つようになってからはよく連絡を取り合った。

かなみが高校に上がる頃には転勤もなくなり、落ち着いて実家で暮らすようになったらしい。

俺の母ちゃんが遊びに来たとか、今年はこんな花が咲いたとか、
日常のちょっとしたことを教えてくれた。



仕事で行き詰ったときはよく相談をした。
すると決まって短い文章と、花の写真が送られてきた。

“これ見て元気出して!小さくてもたくさん集まればこんなに立派になれるんだよ?”

“たとえ地味な花でも、気に入ってくれる人はいるの。
 そういう人がいれば咲いている意味なんて関係ないでしょ?”

“潤くんが「この花が好き」って言ってくれなかったら、
 わたし、この花の良さに気づけなかったよ。
 今では私もこの花がすごく好きでよかったって思う。
 言いたいこと言うのは必ずしも間違いじゃないよ。”

“私はずっと潤くんのこと応援してるから”


嫌なことがあっても、がんばれたのは彼女のおかげ。
道端に咲くトレニアを見つけると、「かなみ、元気かな・・・」と思う。
かなみの元気な笑顔やそれにつられて笑顔になる周りの家族たちを思い出す。





「潤くんこの花好きなんだよーって言ってたの。」



そんな細かいこと覚えてるくせに、
大事なことばっかり忘れてて、
俺ばっかり緊張してたあの一年間返せよ、マジで。



「・・・もし、私が20歳になったときに同じ気持ちだったら、もう一回言ってもいい?」



無駄にそれだけは覚えていた俺は、
2011年がとてつもなく長かったのを今でもはっきり覚えている。





かなみは今、好きな人とか、いるんだろうか・・・。
恋の話はしないから、わかんねぇな。




⇒⇒⇒Next:シェアハウス#24

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