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シアワセ分けてあげたい

駆け抜ける日々の中 ふっと心揺らした 五色の虹 僕の胸焦がしていく
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夏みかん




濡れたままの髪と肩にかかるこげ茶色のタオル。


今にも彼の体からほかほかと湯気が出てきそうで
リビングはお風呂上がりの匂いがした。



「おじゃまします。」
華奢なくせに意外と広い背中に声をかけた。

「あぁー、くそ、やられたー」

「もう(笑) なにか飲む?」
私はテーブルの上の空いたグラスを見てそう尋ねた。


「あー・・・大丈夫大丈夫。」

そう言うと立ち上がってスタスタとキッチンに歩いていった。


ゲームしててもちゃんと話は聞いてる。
そういう細かい器用さがすきだったりする。


ふたりで冷蔵庫を覗きながら飲み物を決めて揃ってリビングに戻った。


「かんぱい。」
「かんぱーい。」

特に意味は込められていない決まり文句を口にして、
グラスに口をつけた。

6月だけど涼しい風に当たって少し冷えた体にアルコールがじんわりと行き渡って
お酒の通り道が熱くなった。

「んー!おいしい。」

「そういえばさ、管理人さんの実家でたくさん採れすぎたっつって
夏みかん?もらったんだけど、いる?」

このマンションの管理人さんと、和くんの親戚に繋がりがあるらしくて、
私たちには度々おすそわけをしてくれていた。

「夏みかん?私夏みかんがこの世で一番好き!」

私がそういった瞬間、和くんは顔を歪ませた。

「何その顔(笑)」
「苦いし酸っぱいし美味しい?」
「もちろんお砂糖につけるんだよ?」
「ごめんね、おじさんそれちょっとわかんないんだわ(笑)」
「えー、美味しいのに・・・」

私はちょっと拗ねながら
また台所に行って言われた場所を覗くと夏みかんが5個カゴに入っていた。


その中から一つ拾って、まな板と果物ナイフをもってリビングに戻った。
それから、今度はタッパーとお砂糖を取りにキッチンにいって、またリビングに戻った。

「ここでやんの?」
「だめ?」
「なんでわざわざ持ってくんのかなってことですよ。」
「座ってやりたいの(笑)」


***


料理をするときは普通にキッチンでするのに、
果物を切るときはわざわざ2往復してまで
道具と果物を持ってきてリビングでカットする。

そのへんなこだわりは未だに理解できないけど、
本当に、ただ座ってやりたかっただけなのかもな。


***


タッパーに綺麗に果肉を並べて
お砂糖をふわふわと敷いて、
またその上に果肉を並べて・・・

黄色とオレンジの中間みたいな
言葉で表せられない黄色と、お砂糖の透き通った白のコントラストが好きで・・・。


見ているだけで幸せな気分になった。



一番簡単で一番大好きな私のお気に入りのデザート。



和くんはわざわざ苦くてすっぱいものを無理やり砂糖に漬け込むなら
最初から甘い果物を食べればいいのにって横からブツブツ言っていた。

めんどくさいことが嫌いな彼らしかった。



文句はいうものの、
私が器に盛った分は全部食べてくれるところも彼らしくて、
私は心の中で「素直になればいいのに」ってつっこんだ。










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